
デジタル化

文書の電子化を進める際には、自社で対応する方法と専門業者へ委託する方法の2つが主な選択肢です。
それぞれにメリットとデメリットが存在するため、自社の状況に合わせて最適な方法を選ぶ必要があります。
この記事では、両者の特徴を比較し、電子化を成功させるための具体的な手順や注意点を解説します。
書類電子化とは、紙媒体の文書をスキャナーなどで読み取り、デジタルデータに変換して管理・活用しやすくすることです。
企業が電子化を進める際、自社のリソースで行う「内製(自社対応)」か、専門業者に任せる「外部委託」かを選択します。
どちらが最適かを判断する基準は、電子化する書類の量や種類、かけられるコスト、求める品質、そしてセキュリティ要件など、企業が何を重視するかによって異なります。

文書の電子化を自社で行うことには、コスト削減やノウハウの蓄積といったメリットがあります。
特に、継続的に書類の電子化が発生する企業や、機密情報を社外に出したくない場合に適した方法です。
ここでは、社内で電子化を進める主な4つのメリットについて解説します。
自社で文書の電子化を行えば、専門業者に支払う外部委託費用を直接的に削減できます。
スキャナーなどの初期投資は発生しますが、一度環境を整えれば、その後は人件費や消耗品費のみで運用が可能です。
特に、日常的に発生する少量の書類を継続して電子化する場合には、長期的に見てコストを抑える効果が期待できます。
予算が限られている場合や、費用対効果を重視する企業にとって大きな利点となります。
電子化作業を自社で行うことで、スキャニングの技術、ファイル管理のルール策定、文書管理システムの運用方法といった一連のノウハウが社内に蓄積されます。
これにより、将来的にペーパーレス化をさらに推進する際の基盤ができます。
また、トラブルが発生した際にも社内で迅速に対応できる体制が整い、外部業者に依存しない自律的な運用が可能になる点も大きなメリットです。
従業員のスキルアップにもつながります。
役員会議事録や契約書、個人情報を含む人事関連書類など、機密性の高い文書を外部に持ち出すことなく電子化できる点は、自社対応の大きなメリットです。
社内文書の電子化を内部で完結させることにより、輸送中や委託先での紛失・情報漏洩リスクを最小限に抑えられます。
セキュリティポリシーが厳格な企業や、外部に情報を出すことに懸念がある場合に、安心してペーパーレス化を進めるための有効な手段となります。
自社で電子化を進める場合、業務の繁閑に合わせて作業スケジュールを柔軟に組むことが可能です。
特定の部署で急ぎの案件が発生した際に優先的に対応したり、通常業務が落ち着いている時期に集中的に作業を進めたりと、状況に応じたリソース配分ができます。
外部委託のように業者のスケジュールに合わせる必要がないため、自社のペースで計画的に文書管理の体制を構築していけます。
自社での文書電子化はコスト削減などのメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在します。
初期費用や作業負担の増加、品質のばらつきといった課題を事前に把握し、対策を検討することが重要です。
ここでは、自社対応で起こりがちな4つのデメリットについて解説します。
自社で電子化を始めるには、スキャナーやOCRソフトウェア、文書管理システムといった機材やツールへの初期投資が必要です。
高性能な業務用スキャナーは高価な場合が多く、まとまった予算の確保が求められます。
また、スキャニング作業やファイル名の変更、データの確認などを行う担当者の人件費も継続的に発生します。
これらの費用が、外部委託費用を上回る可能性も考慮しなければなりません。
書類を一枚ずつスキャンし、内容を確認して適切なファイル名を付け、所定のフォルダに保存するという一連の作業は、想像以上に手間と時間がかかります。
特に大量の書類を抱えている場合、作業が長期化し、本来の業務を圧迫する可能性があります。
また、電子化後のデータの管理やバックアップ体制の構築・運用も新たな業務として発生するため、担当者の負担が増えるという課題があります。
電子化作業を複数の担当者で行う場合、スキャンの解像度やカラー設定、ファイル名の付け方、フォルダの分類方法などに個人差が生じ、品質にばらつきが出る可能性があります。
ルールを策定しても、担当者の習熟度や解釈の違いによって細かな差異が生まれ、結果的にデータの検索性が低下する恐れがあります。
これが自社対応における大きな課題の一つで、品質を均一に保つためには、詳細なマニュアル作成や定期的な研修が必要です。
電子化作業は、通常業務に加えて発生する追加的なタスクです。
専任の担当者を置かない場合、既存の従業員が兼務することになり、本来のコア業務にかける時間が削られてしまいます。
この業務負担の増加は、担当者のモチベーション低下や残業時間の増加につながる課題です。
結果として、組織全体の生産性が低下するリスクも考えられるため、人員配置や業務分担について慎重な計画が求められます。
文書の電子化を外部の専門サービスに委託することには、自社対応にはない多くのメリットがあります。
特に、大量の書類を抱えている場合や、コア業務に集中したい企業にとって有効な選択肢です。
ここでは、外部委託を活用する4つのメリットを解説します。

外部委託を利用すれば、高価な業務用スキャナーや専用ソフトウェアなどの設備を自社で導入する必要がありません。
これにより、多額の初期費用を抑えられます。
また、スキャニング作業を行うための人員を新たに雇用したり、既存の従業員に研修を行ったりする必要もなく、人材確保や教育にかかるコストと手間を削減できます。
限られたリソースを有効活用したい企業にとって、大きなメリットです。
文書の電子化というノンコア業務を専門業者に任せることで、従業員は本来の専門性が求められるコア業務に集中できます。
スキャニングやファイル整理といった単純作業に時間を費やす必要がなくなり、組織全体の生産性向上につながります。
これは外部委託がもたらす重要なメリットの一つであり、従業員の負担軽減とモチベーション維持にも貢献します。
専門業者は、高性能なスキャナーやOCR(光学的文字認識)技術、そして経験豊富なスタッフを有しています。
そのため、自社で行うよりも傾きや歪みが少なく、文字認識精度の高い、均一で高品質な電子データを作成することが可能です。
また、電子帳簿保存法などの法的要件に対応したスキャニングも任せられるため、コンプライアンスの観点からも安心して依頼できます。
専門業者は、大量の書類を効率的に処理するための設備とノウハウを持っています。
そのため、自社で数ヶ月かかるような大量の書類電子化プロジェクトであっても、短期間で完了させることが可能です。
オフィスの移転や保管倉庫の契約更新などに伴い、急いでペーパーレス化を進めたい場合に特に有効です。
事業のスピードを落とすことなく、迅速に文書管理環境を刷新できます。
外部委託には多くのメリットがある一方で、費用や情報漏洩リスクといったデメリットも存在します。
委託を検討する際には、これらの点を十分に理解し、対策を講じることが不可欠です。
ここでは、外部委託で文書を電子化する際の主な3つのデメリットについて解説します。
外部委託の最も直接的なデメリットは、専門業者に支払う費用が発生することです。
料金体系はスキャンする書類の枚数やサイズ、カラーか白黒か、OCR処理の有無などによって変動します。
特に大量の書類を委託する場合や、継続的に依頼する場合には、相応のコストがかかります。
そのため、自社で対応した場合の人件費や設備費と比較し、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
電子化作業をすべて外部に任せることで、社内にスキャニングの技術やファイル管理、文書管理システムの運用に関するノウハウが蓄積されにくいというデメリットがあります。
これにより、将来的に内製に切り替えたいと考えた際に、一から知識や技術を習得する必要が生じます。
また、簡単な電子化作業ですら業者に依頼せざるを得なくなり、長期的に見て外部への依存度が高まる可能性があります。
機密情報や個人情報を含む書類を社外に持ち出すため、情報漏洩のリスクはゼロではありません。
万が一、輸送中や委託先で書類が紛失したり、データが流出したりすれば、企業は深刻な損害を被る可能性があります。
このリスクを最小限に抑えるためには、プライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得しているかなど、業者のセキュリティ体制を厳しく評価し、信頼できる委託先を選定することが極めて重要です。
文書電子化を進めるにあたり、自社対応と外部委託のどちらを選ぶべきか、その判断基準は企業の状況によって異なります。
電子化する書類の量、コスト、セキュリティ要件などを総合的に考慮し、自社にとって最適な方法を選択することが成功の鍵です。
社内での電子化は、機密性が非常に高く、外部への持ち出しが困難な書類を扱う場合に適しています。
また、電子化したい書類の量が比較的少なく、定期的に発生する場合も、自社で対応する方がコストを抑えられる可能性があります。
さらに、将来的にペーパーレス化を全社的に推進していくために、電子化のノウハウを社内に蓄積したいと考えている企業にもおすすめです。
外部委託は、書庫に保管されている過去の文書など、一度に大量の書類を電子化したい場合に特に有効です。
専門業者のリソースを活用することで、短期間で効率的に作業を完了できます。
また、従業員をスキャニング作業から解放し、本来のコア業務に集中させたい場合にも適しています。
電子帳簿保存法など、法的な要件を確実に満たした高品質なデータが必要な場合も、専門知識を持つ業者への委託が安心です。
自社で文書の電子化を進める場合、計画的にステップを踏むことが成功の鍵です。目的の明確化からルールの策定、ツールの準備、そして継続的な改善まで、具体的な方法を解説します。

最初に、何のために文書を電子化するのか、その目的を定義します。
例えば、「保管スペースの削減」「検索性の向上による業務効率化」「テレワークの推進」などが挙げられます。
目的が明確になれば、優先的に電子化すべき対象書類を選定しやすくなります。
契約書や請求書、社内規程など、利用頻度や重要度、法的な保存期間を考慮して、対象範囲を具体的に決定します。
電子化した文書を後から誰もが簡単に見つけられるよう、ファイル管理のルールを策定します。
ファイル名は「日付_取引先名_書類種別」のように、統一された規則性を持たせることが重要です。
また、保存先のフォルダ構造も「年度別」「部署別」「プロジェクト別」など、業務実態に合った分かりやすい階層で設計します。
このルールを文書化し、関係者全員で共有・徹底することが、円滑な運用に不可欠です。
策定したルールに基づき、電子化に必要なツールを準備します。
書類の種類や量に応じて、ADF(自動原稿送り装置)付きのスキャナーや複合機を選定します。
さらに、OCR機能によって全文検索を可能にしたり、アクセス権限の管理を容易にしたりする「文書管理システム」の導入も有効な方法です。
これらのツールを事前に準備することで、作業を効率的に進めることができます。
準備が整ったら、ステップ2で策定したルールに従って、実際にスキャニング作業を開始します。
ホチキスの針を外すなどの前処理を行い、書類をスキャンします。
その後、生成されたデータの内容を確認し、規定のファイル名に変更して正しいフォルダに保存します。
作業品質のばらつきを防ぐため、担当者間で定期的に手順を確認し、ルールが遵守されているかをチェックすることが重要です。
電子化は一度実施して終わりではありません。
実際に運用を開始した後、策定したルールが守られているか、ファイルが見つけにくいといった問題が発生していないかを定期的に評価します。
利用者からのフィードバックを収集し、ファイル名の付け方やフォルダ構成など、管理方法に改善の余地がないかを検討します。
継続的に業務フローを見直し、より使いやすい状態を維持していくことが大切です。
自社で文書を電子化する際には、いくつかの課題に直面することがあります。
特に法律への対応、検索性の確保、セキュリティ対策は、失敗を避けるために必ず押さえておくべき重要なポイントです。
これらの注意点を事前に理解し、対策を講じることで、円滑なペーパーレス化を実現できます。
契約書や領収書、請求書といった国税関係書類を電子化して保存する場合、電子帳簿保存法で定められた要件を満たす必要があります。
解像度や階調、タイムスタンプの付与など、国が定めるルールに従ってスキャン・保存しないと、税法上、原本として認められないリスクがあります。
自社で電子化を行う際は、必ず最新の法令要件を確認し、それに準拠したプロセスを構築しなければなりません。
電子化の大きなメリットである「検索性の向上」を実現するためには、誰が作業しても同じ結果になるよう、ファイル名の付け方に関するルールを徹底することが不可欠です。
日付、取引先、書類の種類などを盛り込んだ命名規則を定め、全社で統一的に運用します。
この管理ルールが曖昧だと、せっかく電子化しても必要な書類がすぐに見つからず、かえって業務効率が低下する原因となります。
文書を電子化すると、紙媒体とは異なるセキュリティリスクが発生します。
不正アクセスやサイバー攻撃、内部関係者による意図的な持ち出しなどによる情報漏洩を防ぐための対策が必要です。
文書管理システムでアクセス権限を細かく設定したり、データの暗号化やバックアップを徹底したりするなど、自社の情報資産を守るための厳格な管理体制を構築することが求められます。
文書の電子化を自社で進めるにあたり、多くの企業担当者が抱える疑問があります。
作業期間の見積もりや、身近なツールでの対応可否、原本の取り扱いといった点について、ここではよくある質問とその回答をまとめました。
作業期間は、電子化する書類の量、種類、作業人数、使用するスキャナーの性能によって大きく変動します。
一概には言えませんが、数箱程度の書類であれば数日から数週間、書庫一つ分となると数ヶ月以上かかることも珍しくありません。
事前にサンプルで作業時間を計測し、現実的な計画を立てることが重要です。
はい、可能です。
少量の書類や、日常的に発生する書類を都度電子化する場合には、複合機のスキャン機能で十分対応できます。
ただし、大量の書類を一度に処理するには効率が悪く、専用スキャナーに比べて速度や品質が劣る場合があります。
電子化する量と求める品質に応じて、最適な方法を選択してください。
すぐに廃棄できない場合が多いです。
特に国税関係書類は、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たして電子化されたデータでなければ、原本である紙の書類を廃棄できません。
また、法律で原本の保存が義務付けられている書類もあるため、廃棄前には必ず法的要件や社内規定を確認する必要があります。
文書の電子化は、自社で行う場合と外部へ委託する場合で、それぞれメリットとデメリットが異なります。
コスト、セキュリティ、品質、社内リソースといった観点から自社の状況を分析し、最適な方法を選択することが重要です。
自社で進める場合は、明確なルール作りと計画的な実行が成功の鍵となり、委託する場合は、信頼できる業者選定が不可欠です。
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。法改正や解釈の変更等により、内容が最新と異なる場合があります。掲載内容の利用によって生じたトラブルや損害について、当社は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
機密情報をはじめとする重要書類の保管・管理・廃棄まで、澁澤倉庫グループの文書保管サービス「tribox」が一括サポートします。100年以上の実績に裏打ちされた保管品質と、お客様の業務フローに合わせた柔軟な対応力で、多くの企業の文書管理課題を解決してきました。
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この記事の著者
澁澤倉庫のtribox 営業担当者
澁澤倉庫入社11年目。文書業務担当2年目。文書管理について1から勉強するうえで、役に立つ情報を発信中!
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